アルーパーヴァチャラチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域におけるチッタ):12種類
第22節 アルーパーヴァチャラクサラチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における、善業を作るチッタ):4種類
● アーカーサンチャーヤタナ クサラチッタン
● ヴィンニャーナンチャーヤタナ クサラチッタン ● アキンチャンニャーヤタナ クサラチッタン ● ネーヴァサンニャーナーサンニャーヤタナ クサラチッタン チャー ティ イマーニ チャッターリ ピ アルーパーヴァチャラ クサラチッターニ ナーマ
● 空間の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する善業を作るチッタ ● 意識の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する善業を作るチッタ ● 虚無を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する善業を作るチッタ ● 認知があるのでも認知が無いのでもない状態を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する善業を作るチッタ
この四つがアルーパーヴァチャラクサラチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における、善業を作るチッタ)です。
第23節 アルーパーヴァチャラヴィパーカチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における、業の結果として生じるチッタ):4種類
● アーカーサンチャーヤタナ ヴィパーカチッタン ● ヴィンニャーナンチャーヤタナ ヴィパーカチッタン ● アキンチャンニャーヤタナ ヴィパーカチッタン ● ネーヴァサンニャーナーサンニャーヤタナ ヴィパーカチッタン チャー ティ イマーニ チャッターリ ピ アルーパーヴァチャラ ヴィパーカチッターニ ナーマ
● 空間の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、業の結果として生じるチッタ ● 意識の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、業の結果として生じるチッタ
● 虚無を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、業の結果として生じるチッタ ● 認知があるのでも認知が無いのでもない状態を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、業の結果として生じるチッタ
この四つがアルーパーヴァチャラヴィパーカチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における、業の結果として生じるチッタ)です。
第24節 アルーパーヴァチャラクリヤーチッタ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における、機能だけのチッタ):4種類
● アーカーサンチャーヤタナ クリヤーチッタン ● ヴィンニャーナンチャーヤタナ クリヤーチッタン ● アキンチャンニャーヤタナ クリヤーチッタン ● ネーヴァサンニャーナーサンニャーヤタナ クリヤーチッタン チャ ティ イマーニ チャッターリ ピ アルーパヴァチャラ クリヤーチッターニ ナーマ
● 空間の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、機能だけのチッタ ● 意識の無限性を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、機能だけのチッタ ● 虚無を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、機能だけのチッタ ● 認知があるのでも認知が無いのでもない状態を基に、それを対象にして得られた禅定に関連する、機能だけのチッタ
この四つがアルーパーヴァチャラクリヤー(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域の、機能だけの)チッタです。第22~24節へのガイド
アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域における)チッタ:このチッタの領域にはアルーパブーミ(物質でないものを対象にして得た禅定に関連する生存領域)と呼ばれる物質のない生存領域のチッタが含まれます。物質を超越したこの生存領域ではチッタとチェータスィカしか残っていません。四段階あるアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にして得られる禅定)を得た人がこの四つの生存領域に再生します。アルーパッジャーナ(物質でないものを対象にして得られる禅定)は五段階あるルーパッジャーナ(物質を対象にして得られる禅定)を超えて更に集中を高めることで得ることが出来ます。アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象にして得られる禅定に関連した意識の領域)には12種類のチッタがあります。そのうちの四つはクサラチッタ(善業を作るチッタ)で、涅槃を悟っていない普通の人々、そして涅槃を悟り解脱を目指す修行者はこのチッタによりアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にして得られた禅定)を経験します。四つのヴィパーカチッタ(業の結果としてのチッタ)はアルーパブーミ(物質でないものを対象にして得た禅定に関連する生存領域)に再生することで生じます。四つのクリヤー(機能だけの)チッタはアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にして得られた禅定)に入ったアラハント(最終的な覚りを得て輪廻からの解脱を果たした聖者)が経験します。
アーカーサンチャーヤタナ(空間の無限性という基盤): アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)です。このジャーナ(禅定)に達するためには、修行者はカスィナと呼ばれる瞑想対象の色のついた円盤のイメージを無限に広げます。その後カスィナが広がった空間にのみ注意を向けることでカスィナのイメージを取り去り、後に残る「無限の空間」に注意を向けて瞑想します。これを繰り返すことで無限の空間(アーカーサパンニャッティ)を対象に没入したチッタが現れます。アーカーサンチャーヤタナ(空間の無限性という基盤)という表現は、厳密に言うとアルーパッジャーナチッタ(物質でないものを対象に得られた禅定に関連するチッタ)の対象として用いられる「無限の空間」という概念のことです。ここではアーヤタナ(基盤)という言葉はジャーナチッタ(禅定のチッタ)が宿る場所という意味で使われています。しかしながら広い意味で、アーカーサンチャーヤタナ(空間の無限性という基盤)はジャーナ(禅定)そのものを差しています。
ヴィンニャーナンチャーヤタナ(意識の無限性という基盤): ここで無限と表現されているヴィンニャーナ(意識)は、アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の第一段階におけるヴィンニャーナ(意識)のことです。アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の第一段階の没入状態においては、無限の空間という基盤ないし概念を対象とします。そのためその空間に広がる意識もまた無限であるということをほのめかしています。ですから、このジャーナ(禅定)に達するためには、瞑想者は無限の空間という基盤の意識を対象とし、それを「無限の意識」としてそれに集中することでやがて第二段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の没入状態が生じます。
アキンチャンニャーヤタナ(虚無という基盤): アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の第三段階は、無限の空間という基盤に関連し、存在しない、何もないという意識の側面を対象とします。アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の第一段階に関連する意識が無い状態に注意を向けることで「存在しない、何もない」という概念(ナッティバーヴァパンニャッティ)を瞑想対象にした第三段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の没入状態が生じます。
ネーヴァサンニャーナーサンニャーヤタナ(認知がないわけでもあるわけでもない状態という基盤): アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の最後となる第四段階では認知があるということもできないし、無いということもできないためこのように呼ばれています。この種のチッタではサンニャー(認知)という要素がごく小さくなり、もはや認知というはっきりした機能を果たせなくなっています。したがって認知があるということは出来ません。一方で、認知が完全に無くなったわけではなくその残骸が残っています。したがって認知が無いということも出来ません。ここでは認知についてのみ語っていますが、このチッタを構成する他の要素もまたあまりにも小さくなっており、あるともないとも言えない状態になっています。この第四段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)は第三段階における虚無を基にした意識を瞑想対象にしています。
第25節 アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象に得られた禅定に関連する意識の領域における)チッタについてのまとめ
アーランバナッパベーデーナ チャトゥダールッパマーナサン
プンニャパーカクリヤーベーダ― プナ ドゥワーダサダー ティタン
アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象に得られた禅定に関連する意識の領域における)チッタは瞑想の対象によって分類すれば四つになります。またクサラ(善業を作る)、ヴィパーカ(業の結果として生じる)、クリヤー(機能だけの)により細分すれば全部で12種類となります。
第25節へのガイド
瞑想の対象によって分類すれば:それぞれのアルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象に得られた禅定に関連する意識の領域における)チッタに関連して理解すべき対象(アーランマナ)は二つあります。一つはチッタによって直接認識される対象(アーランビタッバ)、そしてもう一つは次の段階へ進むために乗り越えるべき対象(アティッカミタッバ)です。両者の関係については表1.6を参照してください。
アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)とルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)はいくつかの大事な点で異なります。ルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)では例えば色の異なるカスィナ(瞑想対象として使われる色のついた円盤)など、瞑想対象は様々です。一方、アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の場合はそれぞれの段階に特有のたった一つの瞑想対象しかありません。また、ルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)の場合は、それぞれの段階に含まれるジャーナ(禅定)の要素が異なります。第一段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)では五つ、第二段階では四つといった具合です。そしてより高い段階のジャーナ(禅定)を目指す瞑想者は同じ瞑想対象に集中しながら、粗大な要素から始めて段階的にジャーナ(禅定)の要素を消し去り、最終的に第五段階のジャーナ(禅定)に達します。しかし第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)から第一段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)へとステップアップする時、アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)の中でステップアップする時には、乗り越えるべきジャーナ(禅定)の要素はもはやありません。代わりに、各段階の瞑想対象を乗り越えて、次の段階のよりかすかな瞑想対象へと移っていかなければなりません。
アルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)のチッタは全て、第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)と同じ二つのジャーナ(禅定)の要素、ウペッカー(心が静まり苦しくも楽しくもなくなった状態)とエーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を含みます。そのため、時に四段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)を、第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)に含めて話をする場合があります。チッタとして見た場合、異なる意識の領域に属し、また瞑想対象も異なるため、第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)とは異なります。しかし、ジャーナ(禅定)の観点から見れば、同じ二つのジャーナ(禅定)の要素から構成されるため、アビダンマを教える指導者たちは折に触れアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)を第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)の一部とみなすことがあります。
15種類のルーパッジャーナ(物質を対象にして得られた禅定)と、12種類のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象に得られた禅定)をまとめて、マハッガタチッタ(荘厳な、高尚な、高貴なチッタ)と呼ぶ場合があります。なぜなら、ニーヴァラナ(集中を妨げる五つの障害)から離れており、清潔で、レベルが高く、偉大な心の状態だからです。
これまでお話しした81個のチッタは全てローキヤチッタ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域におけるチッタ)と名付けられています。なぜなら、カーマローカ(感覚的楽しみを追い求める世界)、ルーパローカ(物質を対象にして得られた禅定に関連する世界)、アルーパローカ(物質ではないものを対象にして得られた禅定に関連する世界)という三つの世界に属するからです。
ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域におけるチッタ:8種類
第26節 ロークッタラクサラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、善業を作る)チッタ:4種類
● ソーターパッティ マッガチッタン ● サカダーガーミ マッガチッタン ● アナーガーミ マッガチッタン ● アラハント マッガチッタン チャー ティ
イマーニ チャッターリ ピ ロークッタラクサラチッターニ ナーマ
● ソーターパッティという悟りの第一段階の道のチッタ ● サカダーガーミという悟りの第二段階の道のチッタ ● アナーガーミという悟りの第三段階の道のチッタ ● アラハントという悟りの第四段階の道のチッタ
この四つがロークッタラクサラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、善業を作る)チッタです。
第27節 ロークッタラヴィパーカ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、業の結果としての)チッタ:4種類
● ソーターパッティ パラチッタン ● サカダーガーミ パラチッタン ● アナーガーミ パラチッタン ● アラハント パラチッタン チャ― ティ
イマーニ チャッターリ ピ ロークッタラヴィパーカチッターニ ナーマ
● ソーターパッティという悟りの第一段階の果のチッタ ● サカダーガーミという悟りの第二段階の果のチッタ ● アナーガーミという悟りの第三段階の果のチッタ ● アラハントという悟りの第四段階の果のチッタ
この四つがロークッタラヴィパーカ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、業の結果として生じる)チッタです。
第28節 ロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における)チッタのまとめ
チャトゥマッガッパベーデーナ チャトゥダー クサラン タター
パーカン タッサ パラッター ティ アッタダーヌッタラン マタン
クサラ(善業を作る)チッタは四つの道により4種類、ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタは対応する四つの果により4種類あります。従ってロークッタラには8種類あると理解してください。
第26~28節へのガイド
ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域におけるチッタ):ロークッタラチッタは、パンチャカンダ(ルーパ(物質)、ヴェーダナー(感受)、サンニャー(認知)、サンカーラ(意思形成)、ヴィンニャーナ(感覚を感じたという意識)という生命を構成する五つの部分)により形作られる世界(ローカ)を超越(ウッタラ)する過程に関係するチッタです。この種類のチッタはサンサーラ(輪廻=死と再生の無限の繰り返し)からの解脱とニッバーナ(涅槃)への到達へと導きます。ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域におけるチッタ)には八つあり、悟りの四つの段階、ソーターパッティ(輪廻からの解脱を妨げる10個のキレーサ=心の汚れのうち、ヴィチキッチャー=ブッダ・ダンマ・サンガとその教えに対する疑い、とディッティ=聖なる真理にそぐわない誤った見解、という二つのキレーサが絶滅した悟りの第一段階)、サカダーガーミ(パティガ(嫌悪)とカーマラーガ(官能的な欲)が極めて小さくなった悟りの第二段階)、アナーガーミ(パティガ(嫌悪))が絶滅した悟りの第三段階)、アラハント(残りのキレーサ=心の汚れが全て絶滅し、輪廻からの解脱を果たした悟りの最終段階)に関連します。表の1.7に示すように、それぞれの悟りの段階はマッガ(道の)チッタとパラ(果の)チッタという二つのチッタから構成されます。マッガ(道の)チッタにはキレーサ(解脱を妨げる心の汚れ)を根絶ないし永遠に消し去るという働きがあります。パラ(果の)チッタには、それぞれのマッガ(道の)チッタがもたらす、悟りの段階に応じた解放を経験するという働きがあります。マッガ(道の)チッタはクサラ(善業を作る)チッタでパラ(果の)チッタはヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタに相当します。
それぞれのマッガ(道の)チッタが生じるのは一度だけであり、チッタ一個分の時間単位(チッタッカナ)しか持続しません。マッガ(道の)チッタを得た人の心に同じマッガ(道の)チッタが再び現れることはありません。それぞれのマッガ(道の)チッタに応じたパラ(果の)チッタは、最初はマッガ(道の)チッタのすぐ後に生じ、チッタ二つないし三つ分の時間だけ持続します。そしてその後は何度も繰り返し現れます。訓練により、パラサマーパッティ(果定、第4章、第22節;第4章、第42節参照)と呼ばれるロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域)の没入状態の中で長時間持続させることが出来るようになります。
マッガ(道)、パラ(果)は洞察を育てる瞑想、ヴィパッサナー瞑想により得ることが出来ます。この種の瞑想はパンニャー(智慧)の力を強化する訓練を含みます。常に変化している心と身体の現象を、途切れることなく観察することで瞑想者は永続せず、苦しみであり、実体が無いという、心と身体の現象の本質が分かるようになります。洞察が完璧に熟すると、そこからロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域)のマッガ(道)とパラ(果)が現れます。
ソーターパッティマッガチッタ(輪廻からの解脱へと向かう流れに入った覚りの第一段階の道のチッタ):後戻りすることのない悟りの道へ入ることをソーターパッティ(輪廻からの解脱へと向かう流れに入った覚りの第一段階)と呼び、それを達成したことを経験するチッタがソーターパッティマッガチッタ(輪廻からの解脱へ向かう流れに入った覚りの第一段階の道のチッタ)です。ソータとはアーリヤアッティンギカマッガ(聖なる八つの正しい道)のことです。サンマーディッティ(正しい見解)、サンマーサンカッパ(正しい思念)、サンマーヴァーチャー(正しい言葉)、サンマーカンマンタ(正しい行い)、サンマーアージーヴァ(正しい生計)、サンマーヴァーヤーマ(正しい努力)、サンマーサティ(正しい気づき)、サンマーサマーディ(正しい集中)の八つからなる道です。ヒマラヤの山中に元をたどるガンジス河が途切れることなく大海へと流れるように、サンマーディッティ(正しい見解)から始まるアーリヤアッティンギカマッガ(聖なる八つの正しい道)はニッバーナ(涅槃)へと途切れることなく流れて行きます。
アッティンギカマッガ(八つの正しい道)はニッバーナ(涅槃)を悟っていないけれども道徳的に生きる一般の人々のカーマーヴァチャラクサラ(感覚的な楽しみを追い求める意識の領域における、善業を作る)チッタにも生じます。しかし、輪廻からの解脱を目指すという目標が定まっていません。ニッバーナ(涅槃)を悟っていない一般の人々の場合は、その性質が変わり、ダンマから離れてしまう可能性があるからです。しかし輪廻からの解脱へと向かう流れに入った聖なる弟子たちは、しっかりと目標が定まり、水の流れのようにニッバーナ(涅槃)へと確実に向かって行きます。
ソーターパッティマッガ(輪廻からの解脱へと向かう流れに入った覚りの第一段階の道の)チッタの機能は、サンヨージャナ(生命を輪廻に繋ぎ止める足枷)の内の最初の三つ、(1)ディッティ(聖なる真理にそぐわない誤った見解)、(2)ヴィチキッチャー(ブッダ・ダンマ・サンガとその教えに対する疑い)、(3)シーラッバタパラマサ(祭礼や儀式が輪廻からの解脱に導くと考えてそれに執着すること)を断ち切ることです。さらに、人間より下の生存世界への再生をもたらす強いローバ(欲)、ドーサ(怒り)、モーハ(真理が分からず混乱した状態)を断ち切る働きもあります。またこのチッタは他の五つのチッタ、つまりローバムーラディッティガタサンパユッタ(聖なる真理にそぐわない誤った見解が付随し、欲というチッタを安定させる根を持つ)チッタ四つ(第4節参照)と、モーハムーラヴィチキッチャーサンパユッタチッタ(真理が分からず混乱した状態というチッタを安定させる根を持ち、ブッダ・ダンマ・サンガとその教えに対する疑いが付随するチッタ)一つ(第6節参照)もまた永久に根絶やしにします。解脱の流れに入った聖者は最高で7回再生する内に確実に輪廻からの解脱に達するとされています。また人間より下の悲惨な生存世界に再生することはありません。
サカダーガーミマッガ(覚りの第二段階の道の)チッタ: これはアーリヤアッティンギカマッガ(聖なる八つの正しい道)に関連するチッタでサカダーガーミという覚りの第二段階の意識の領域に到達させます。このチッタはサンヨージャナ(生命を輪廻に繋ぎ止める足枷)を根絶することはありませんが、サンヨージャナの内のカーマラーガ(官能的な欲)とパティガ(嫌悪)を極めて小さくします。この段階に達した聖者は感覚的な楽しみを追い求める生存領域のうち人間界ないし天界(多くの場合天界)に1回だけ再生し、その後輪廻からの解脱に達するとされています。
アナーガーミマッガ(覚りの第三段階の道の)チッタ: この段階に達した聖者は感覚的な楽しみを追い求める生存領域に再生することはありません。その生涯で悟りの最終段階であるアラハントに達しなかった場合は、ルーパブーミ(物質を対象にした禅定に関連する生存領域で、微細な物質しか存在しない)にのみ再生し、そこで最終的な悟りを得て輪廻から解脱します。このチッタはサンヨージャナ(生命を輪廻に繋ぎ止める足枷)の内、カーマラーガ(官能的な欲)とパティガ(嫌悪)を根絶やしにします。またドーサ(怒り)をへートゥ(チッタを安定させる根)とするチッタ二つ(第5節参照)が永久に無くなります。
アラハッタマッガ(覚りの最終段階、アラハントの道の)チッタ: アラハントはサンサーラ(輪廻=死と再生の無限の繰りかえし)から完全に解脱した人です。心の汚れという敵(ari)を、破壊した(hata)人という意味です。このチッタは直接アラハントに輪廻からの解脱をもたらします。また五つのかすかなサンヨージャナ(生命を輪廻に結びつける足枷)、バワラーガ(微細な物質しかない生存領域であるルーパブーミ、物質のない生存領域であるアルーパブーミへの再生に対する願望)、マーナ(自分と他者を比較する心の汚れ)、ウッダッチャ(不穏、興奮)、アヴィッジャー(真理に対する無知)を破壊します。このチッタはまた残ったアクサラチッタ(不善業を作るチッタ)、すなわちローバムーラデッティガタヴィッパユッタチッタ(欲というチッタを安定させる根を持ち、聖なる真理にそぐわない誤った見解が付随しないチッタ)四種類(第4節参照)、モーハムーラウッダッチャサンパユッタチッタ(真理がわからず混乱した状態というチッタを安定させる根を持ち、不穏・興奮が付随するチッタ)一種類(第6節参照)も取り除きます。
パラチッタ(果のチッタ): それぞれのマッガ(道の)チッタは、それが生じた直後、同じ認識過程の中において、自動的に相応のパラ(果の)チッタをもたらします。その後は、瞑想者がニッバーナ(涅槃)を対象に瞑想するたびに、パラ(果の)チッタが繰り返し生じます。パラ(果の)チッタは分類の上ではヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタに相当します。なおロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域)にはキリヤ(働きだけの)チッタが無いことに注意してください。アラハントがパラ(果)を基にした禅定に入った場合、その禅定の中で生じるチッタはロークッタラマッガ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における道)がもたらす果であり、ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタのグループに属するからです。
第29節 チッタのまとめ ドゥバーダサークサラーネーヴァン クサラーネーカヴィーサティ
チャッティムセーヴァ ヴィパーカーニ クリヤーチッターニ ヴィーサティ
チャトゥパンニャーサダー カーメー ルーペー パンナーラスィーライェー
チッターニ ドゥヴァーダサールッペー アッタダーヌッタレー タター
このように、アクサラ(不善業を作る)チッタが12種、クサラ(善業を作る)チッタが21種類あります。ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタは36種類、クリヤー(機能だけの)チッタが20種類となります。
カーマーヴァチャラ(感覚の喜びを追い求める意識の活動領域における)チッタは54種類、ルーパーヴァチャラ(物質を対象にした禅定に関連する意識の活動領域における)チッタが15種類、アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域における)チッタが12種類、ロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における)チッタが8種類となります。
第29節へのガイド
この偈文の中で、アーチャリヤ・アヌルッダ尊者は、ここまでに開設した89個のチッタ全てをまとめています。偈文の最初の部分でチッタをその性質ないし種類(ジャーティ)により四つのグループに分けています(表1.8参照)。
12 アクサラ(不善業を作る)チッタ
21 クサラ(善業を作る)チッタ
36 ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタ
20 キリヤ(機能だけの)チッタ
最後の二つはカンマ(業)の観点からクサラ(善を作る)、アクサラ(不善業を作る)に区分することができない(アビャーカタ)という理由から一つのグループとして取り扱われます。
二番目の偈文では、同じ89種類のチッタをチッタのブーミ(存在領域)により四つのグループに分けています。
54 カーマーヴァチャラ(感覚的な楽しみを追い求める意識の領域における)チッタ
15 ルーパーヴァチャラ(物質を対象とした禅定に関連する意識の領域における)チッタ
12 アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象とした禅定に関連する意識の領域における)チッタ
8 ロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における)チッタ
チッタは対象を認識するという性質からみれば一つですが、これまで述べたような様々な基準により多くの種類に区分されています。
エーカヴィーササターニ チッタ(121種類のチッタの分類)
第30節 簡略した説明
イッタン エークーナナヴティッパベーダン パナ マーナサン
エーカヴィーササタン ヴァータ ヴィバンジャンティ ヴィチャッカナー
このようにチッタは89種類に区分されますが、賢者は121種類に分類します。
第31節 詳細な説明
カタン エークーナナヴティビダン チッタン エーカヴィーササタン ホーティ?
● ヴィタッカ ヴィチャーラ ピーティ スカ エーカッガター サヒタン パタマッジャーナ ソーターパッティ マッガチッタン
● ヴィチャーラ ピーティ スカ エーカッガター サヒタン ドゥティャッジャーナソーターパッティ マッガチッタン ● ピーティ スカ エーカッガター サヒタン タティヤッジャーナ ソーターパッティ マッガチッタン ● スカ エーカッガター サヒタン チャトゥタッジャーナ ソーターパッティ マッガチッタン ● ウペッカー エーカッガター サヒタン パンチャマッジャーナ ソーターパッティマッガチッタン チャー ティ
イマーニ パンチャ ピ ソーターパッティマッガチッターニ ナーマ
タター サカダーガーミマッガ アナーガーミマッガ アラハッタ マッガチッタン チャー ティ サマヴィーサティ マッガチッターニ
タター パラチッターニ チャー ティ ソーマチャッターリーサ
ロークッタラチッターニ バヴァンティ ティ
89種類に分類されたチッタがどのようにして121種類に分類されるのでしょうか。
● ヴィタッカ(認識対象に注意を向かわせる要素)、ヴィチャーラ(認識対象に向かった注意を持続させる要素)、ピーティ(喜び)、スカ(精神的な安楽)、エーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を伴う、ソーターパッティ(悟りの第一段階)の第一段階の禅定のチッタ
● ヴィチャーラ(認識対象に向かった注意を持続させる要素)、ピーティ(喜び)、スカ(精神的な安楽)、エーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を伴う、ソーターパッティ(悟りの第一段階)の第二段階の禅定のチッタ
● ピーティ(喜び)、スカ(精神的な安楽)、エーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を伴う、ソーターパッティ(悟りの第一段階)の第三段階の禅定のチッタ
● スカ(精神的な安楽)、エーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を伴う、ソーターパッティ(悟りの第一段階)の第四段階の禅定のチッタ
● ウペッカー(心が静まり苦も楽も感じなくなった状態))、エーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を伴う、ソーターパッティ(悟りの第一段階)の第五段階の禅定のチッタ
この五種類がソーターパッティのマッガ(道の)チッタです。サカダーガーミ(悟りの第二段階)、アナーガーミ(悟りの第三段階)、アラハント(悟りの最後の段階)の場合も同じです。このように数えることでマッガ(道の)チッタは全部で20種類となります。同様に、パラ(果の)チッタも20種類となり、ロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における)チッタは合計40種類となります。
第31~32節へのガイド
瞑想者は全てパンニャー(現象をありのままに見る智慧)、すなわち無常(全ての現象は常に変化している)・苦(生と死を繰り返す輪廻は苦しみである)・無我(全ての現象には自己と呼べる変わらぬ実体はない)に対する洞察を通してロークッタラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域)のマッガ(道)・パラ(果)に到達します。しかしながら、瞑想者のサマーディ(集中)の熟達度合には差があります。ジャーナ(禅定:集中が高度に高まった状態)を得ずに洞察を培う瞑想者はスカヴィパッサカ(洞察瞑想だけの実践者)と呼ばれ、マッガ(道)・パラ(果)に達した時には、そのマッガ(道の)チッタ・パラ(果の)チッタはジャーナ(禅定)の第一段階のレベルに相当します。
ジャーナ(禅定)を基にして洞察を培う瞑想者は、マッガ(道)に到達する際のジャーナ(禅定)のレベルに応じたマッガ(道)・パラ(果)を得ます。マッガ(道)・パラ(果)のジャーナ(禅定)のレベルを決める要素が何なのかについての見解は指導者によって異なります。一つの学派は、パーダカッジャーナ(基礎的な禅定)、つまり洞察を得る前に心を集中させる基礎となるジャーナ(禅定)が絶頂に達した時にロークッタラマッガ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の道)を得ると説明しています。二番目の学派は、サンマスィタッジャーナ(理解ないし観察対象としての禅定)と呼ばれる洞察の観察対象として用いたジャーナ(禅定)の種類によりマッガ(道)のジャーナ(禅定)レベルが決まるとしています。第三の学派によれば、ジャーナ(禅定)の各段階をマスターした瞑想者は、マッガ(道)のジャーナ(禅定)レベルを個人的な願望ないし好みに応じてコントロールできるとされています(アッジャーサヤ)。
どのような説を採用したとしても、全てのマッガ(道の)チッタ・パラ(果の)チッタはジャーナ(禅定の)チッタの一種とみなされます。これは洞察瞑想だけを行う瞑想者の場合も、ジャーナ(禅定)を目指して集中瞑想を行ってから洞察を得る瞑想者の場合も同じです。その理由は、(1)マッガ(道の)チッタ・パラ(果の)チッタが生じるのはローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)の場合と同じように、瞑想対象に完全に没入し深い瞑想に入っている時である、(2)マッガ(道の)チッタ・パラ(果の)チッタは相応のローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)と同じ強さのジャーナ(禅定)の要素を含んでいる、という二点です。マッガ(道)・パラ(果)というロークッタラジャーナ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の禅定)はいくつかの重要な点でローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)と異なります。第一に、ローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)の瞑想対象はカスィナ(集中瞑想の対象として使う色のついた円盤)のイメージなどの概念を対象にしますが、ロークッタラジャーナ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の禅定)の瞑想対象は、条件に左右されない真理であるニッバーナ(涅槃)です。第2にローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)の場合、キレーサ(心の汚れ)は一時的に抑圧されるだけでその根底にある種はそのまま残りますが、ロークッタラジャーナ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の禅定)はキレーサ(心の汚れ)を根絶やしするため二度と生じることがありません。第三に、ローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)はルーパブーミ(物質を対象にした禅定に関連する意識の存在領域)への再生をもたらし、生と死の繰り返しが続きますが、ロークッタラジャーナ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の禅定)は生命をサンサーラ(輪廻:生と死の永遠の繰り返し)に繋ぎ止めるサンヨージャナ(足枷)を断ち切り、生と死の繰り返しからの解放をもたらします。最後に、ローキヤジャーナ(涅槃を悟っていない普通の人々の意識の領域における禅定)の場合は智慧より集中が優先されますが、ロークッタラジャーナ(涅槃を悟った聖者の意識の領域の禅定)の場合は智慧と集中の調和がとれています。集中により心を「条件に左右されない対象」に固定し、智慧により「四つの聖なる真理(苦しみ、苦しみの原因、苦しみの滅尽、苦しみの滅尽に至る道)」を深く究明します。
五段階のジャーナ(禅定)の区分を基にし、含まれるジャーナ(禅定)の要素に応じて、マッガチッタ(道のチッタ)・パラチッタ(果のチッタ)が細分されます。ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域のチッタ)を単にマッガ(道)とパラ(果)に分けて全部で八つと数える方法の代わりに、それぞれのマッガチッタ(道のチッタ)・パラチッタ(果のチッタ)をそれが生じた際のジャーナ(禅定)のレベルによりさらに五つに分けることが出来ます。このようにすると八つのロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域のチッタ)はそれぞれが五つのジャーナ(禅定)のレベルにより細分され、合計で40種類となります(表1.10参照)。
第32節 結論とまとめ
ジャーナンガヨーガベーデーナ カトゥヴェーケーカン トゥ パンチャダー
ヴッチャッターヌッダラン チッタン チャッターリサヴィダン ティ チャ
ヤター チャ ルーパーヴァチャラン ガヤターヌッタラン タター
パタマーディジャーナベーデー アールッパン チャー ピ パンチャメー
エーカーダサヴィダン タスマー パタマーディカン イーリタン
ジャーナン エーケーカン アンテー トゥ テーヴィサティヴィダン バーヴェー
サッタティンサヴィッダン プンニャン ドゥヴィパンニャーサヴィダン タター
パーカン イッチャーフ チッターニ エーカヴィーササタン ブダー ティ
それぞれのチッタをジャーナ(禅定)の要素の違いにより5種類に分けると、ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域のチッタ)は全部で40種類になります。
ルーパーヴァチャラチッタ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域のチッタ)が禅定の第一段階から始まって五つとなるように、ロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域のチッタ)も五段階に分類されます。なお、アルーパ―ヴァチャラ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域における)チッタは第五段階のジャーナ(禅定)に分類されます。
このようにして、第一段階から第四段階までのジャーナ(禅定)がそれぞれ11種類、第五段階のジャーナ(禅定)が23種類となります。
クサラ(善業を作る)チッタが37種類、ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタが52種類です。こうして、賢者はチッタを121種類に分類します。
第32節へのガイド
アルーパーヴァチャラ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域における)チッタは第五段階のジャーナ(禅定)に分類されます:以前説明した通り、第四段階のアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域の禅定)は全て第五段階のルーパッジャーナ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域の禅定)の二つのジャーナ(禅定)要素であるウペッカー(心が静まり苦しくも楽しくもなくなった状態態)とエーカッガター(一つの対象に対する集中が途切れなく持続した状態)を持っています。このため第五段階のジャーナ(禅定)と同じグループとみなされています。従って、瞑想者がアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域の禅定)を基にして洞察を得た場合、そのマッガ(道の)チッタ・パラ(果の)チッタは第五段階ジャーナ(禅定)のロークッタラチッタ(涅槃を悟った聖者の意識の領域のチッタ)に分類されます。
このようにして、第一段階から第四段階までのジャーナ(禅定)がそれぞれ11種類:第一段階から第四段階までのジャーナ(禅定)チッタはそれぞれルーパーヴァチャラクサラ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域における、善業を作る)チッタ、ルーパヴァチャラヴィパーカ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域における、業の結果として生じる)チッタ、ルーパヴァチャラキリヤ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域における、働きだけの)チッタの三つと、ロークッタラマッガ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における道の)チッタ=クサラ(善業を作る)チッタ四つ、ロークッタラパラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における果の)チッタ=ヴィパーカ(業の結果として生じるチッタ四つ、合わせて11種類となります。
第五段階のジャーナ(禅定)が23種類となります:第五段階のジャーナ(禅定)にはルーパッジャーナ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域の禅定)の第五段階およびアルーパッジャーナ(物質でないものを対象にした禅定に関連する意識の領域の禅定)の第一段階から第四段階が含まれ、それぞれがルーパーヴァチャラクサラ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域おける、善業を作る)チッタ、ルーパーヴァチャラヴィパーカチッタ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域における、業の結果として生じる)チッタ、ルーパヴァチャラキリヤ(物質を対象にした禅定に関連する意識の領域における、働きだけの)チッタの三つに分かれるため15種類、これにロークッタラクサラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における善業を作る)チッタ=マッガ(道の)チッタ四つ、ロークッタラヴィパーカ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、業の結果としての)チッタ=パラ(果の)チッタ四つが加わり、全部で23種類となります(表1.11)。
ロークッタラクサラ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、善業を作る)チッタ=マッガ(道の)チッタ四つ、ロークッタラヴィパーカ(涅槃を悟った聖者の意識の領域における、業の結果として生じる)チッタ=パラ(果の)チッタ四つ、合計8種類をジャーナ(禅定)の五つの段階で細分類すると40種類となります。このように計算すると、クサラ(善業を作る)チッタが37種類、ヴィパーカ(業の結果として生じる)チッタが52種類となります。こうしてチッタの総数は89種類から121種類へと増えます。
イティ アビダンマッタサンガへー
チッタサンガハヴィバーゴー ナーマ
パタモー パリッチェードー
これでアビダンマッタサンガハ(アビダンマの概要)の第1章、チッタの概要が終了します。
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